感謝状
ラジオを聴きながら車を走らせていたある日の午後。
リスナーの方からのお便りが紹介され始めた。
その方は、長く勤めた会社を少し前に定年退職されたとのこと。
その会社の定年退職は、従業員の方の誕生日を基準に退職日が決まり
年に2回退職の式典が催される。
リスナーの方が退職される日も、数十人の退職者の方が一緒に式典に参加されたそうだ。
式典では、退職される方に、社長から感謝状が手渡される。
そして、その感謝状には、退職者の方が入社してから退職するまでの
様々なエピソードが書かれていて、
それを社長が一人ずつ、退職する皆の前で読み上げていく。
自分のいままでの歩んできた日々を思い出しながら、
そして、同じ日に一緒に卒業していく方々のエピソードを聞きながら
泣いたり笑ったりして式は進んでいく。
リスナーの方の卒業の大切な想い出、そんなお便りでした。
なんて素敵な会社、なんて素敵な仲間たち。
退職される方 一人一人に
感謝状を読み上げて渡される社長も素敵だと思いつつ、
もっと素晴らしいと思ったのは
感謝状を作るために、後輩たちが
退職される方のことを知っている人を探して、長い年月を辿って
きちんと話を聞いて、感謝状を作っていくこと。
一人一人の感謝状を作ることは大変なことなんだろうと感じる反面、
感謝状作りをすることで、退職される先輩のあんな顔や、こんな想い、若い頃の姿、
いままで知らなかった人となりを知ることが出来たり、
いま自分がぶつかている問題の解決の糸口に繋がったり。
話を聞かせてもらった人との新しい出逢いもまた生まれたり。
感謝状を作る方達にとっても素敵な時間になっているのだろうなと思う。
定年退職というと、少し寂しさや喪失感を感じてしまう面もあるけれど
こんな式に参加して、感謝状を受け取ることで
寂しさよりも、それ以上の自分の歩いてきた道の確かさを振り返り
次の人生への自信につながっていく。
感謝状を受け取った方々は、家に帰って飾ってみたり
家族と感謝状を見ながらいろんな話をしてみたり
感謝状はどんどん繋がっていくんだろうな。
感謝状、明日からの新しい人生のスタートの切符。
どんなところへも進んでいけそうですね。
Meg-me