共有する喜び
昨年、初めて梅仕事を経験しました。
これがとても楽しくて、
今年も梅酒や梅シロップを作ることを心待ちにしていたのですが
梅が不作で、なかなか手に入らないとのこと。
小さい梅を少し頂いたので、これで梅シロップを作ってはみたものの
梅農家さんのサイトや本で、梅研究家もどきになっていた私は意気消沈、、、
(小さい梅をくださった方、ごめんなさい)
そんな話を友人にしたところ、ご家族が梅農家さんとお付き合いがあるとのことで、
梅を用意してくださり、我が家にお届けくださいました。
思いがけず、たくさんの梅を頂いた私は、梅仕事を堪能!
梅を丁寧に洗って、優しくふいて、ヘタを取りながら、思ったことが二つあります。
ひとつは、テレビやSNSでも 今年は梅が無い、という声が多く聞かれる中で
梅研究家でもない私に、こんなに梅を用意してくださって、
本当に友人やそのご家族、梅農家さんに心から感謝を伝えたいと思いました。
そして、もう一つ思ったことは、
昨年の梅酒は、そろそろ1年が経つけれど、
どんな味に仕上がっているのだろう?ということ。
そもそも、梅酒作り業界では、やっと初心者マークが外せた わたし。
いままでは、おばあちゃんや母が作る梅酒や梅を ただ食べるだけだった わたし。
そんな わたしが作った梅酒、その出来具合はどうなんだ?と思ったんです。
3個のガラス瓶に収まったばかりの梅達に、元気に美味しく漬かってね、と声を掛け
その横にある、昨年漬けた琥珀色に染まった梅酒の瓶に手を伸ばす。
そーっと蓋を開け、杓子ですくってショットグラスへ。
ひとくち 口に含むと まろやかな梅の香りが広がりながら、
のどを通り過ぎるときには アルコールの刺激が力強く響いてくる。
おそらく、味わっている時の私の表情は熟練した醸造家。
美味しかったんです。幸せのお酒が生まれていたんです。
ここで、また思ったことが!
誰かにこの美味しさを届けたい。大切な人とこの味を共有したい。
以前、東南アジアへ出張した際に、一緒に仕事をする方達が食事に集まる時
自分が作ったお酒なんだけど、と大事に瓶や壺を抱えてくることがよくありました。
せっかく持参してくださったものだから、と少しだけドキドキしながら頂いていましたが
私が口にする時、顔を覗き込んで、表情をみて、
次には、どうだ?美味しいかい?と皆が聞いてきました。
結構キツイお酒も多かったので、
一口だけ飲んで「ありがとう」と グラスを置くこともあったのですが
いまの私にはあの頃の壺を抱えてきた人達の気持ちが、とってもわかるんです。
美味しいものを、友人やお客さんや、自分に関わる人に楽しんでもらいたい。
美味しいことが人を幸せにさせてくれるということを、共有したい。
そんな気持ちで、心を込めて大切に作ったお酒を、大事に持ってきたのだということを。
いま、まさに私はそんな気持ちなのです。
・・・でも、自分で作った梅酒は基本的には
自分やその家族だけでしか消費してはいけないという法律が日本にはあります。
(友人に振る舞うことは良いが、差し上げるのはダメ、という説など
所説ありますが、難しそうです)
なので、我が家だけでしか、この梅酒は飲めないのですが、
梅作りをすることで、東南アジアでお世話になった方の気持ちに繋がって、
そして、美味しいものは 大切な人と共有したいと思う気持ちを
あらためて認識しました。
お酒は難しいけど、次は何か美味しいものを作って
大切な人たちの笑顔を見て 喜びを共有したいな。
さあ、何を作ろうかな!
Meg-me